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映画『心が叫びたがってるんだ。』を観た。

映画 アニメ

 

『心が叫びたがってるんだ。』

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通称”ここさけ”を見てきました。

 

 

有名アニメあの日見た花の名前を僕はまだ知らない

通称あの花と同じ制作チーム、同じ秩父舞台、何よりもあの花の知名度が高いのでやたらとあの花と絡めて

「あの感動が再び」

なーんて宣伝の仕方が特にあの花が合わなかった私にはとても胡散臭く見えて

観に行く気がなかったのですが友達に誘われて行ってきました。結果

 

面白かったです

 

あの花が面白くなかった人にとって全ての人が私と同じ様な理由だとは思いませんが、

少なくても私が楽しめた時点で

あの花がダメだった人でも楽しめる映画(ソースは私だけw)

だったと思います。

あの花が好きな人集まれー的な宣伝の仕方はミスリードだなーって。

 

あの花が詰まらなかったからここさけは見ようかどうか迷ってる人はあんまり関係ないっていうこれだけが言いたくてブログを更新したようなものw

 

 逆に最近のアニメウォッチャーはドラマ性よりもキャラクターの品行方正を求めるあまりちょっとでも衝突があると嫌になる方もいるのでそういう人には合わないかと思います。

書いてるのがドロドロ展開に定評がある岡田マリさんなので

そういう人たちは元々興味を示さないとも思いますが、あの花が比較的品行方正な内容なのでここさけを観てこんなんじゃなーい!って怒るあの花ファンがいたとしてもあんまり驚きません。

 

多少無茶な設定、展開だなあって気になる所もありましたが、

ストーリーが破綻するほどのものを感じませんでしたし、

最後まで楽しんで鑑賞しました。

 

以下ネタバレあり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・話のフック

お客さんを話に集中させる為には集中を集める為の掴みが重要です。

この作品は強烈な掴みが最初から仕掛けられていました。

 主人公の女の子成瀬順ちゃんは思い込みが激しくて好奇心旺盛な女の子。

おとぎ話の主人公のような設定ですが、そんな彼女もおとぎ話のお姫様に憧れていて、

憧れのお城(の形をしたラブホ)を見に行く。

すると偶然父親が「お城」から出てくる所、要は浮気現場を目撃してしまうのですが、

当時ちびっ子でそれが何なのか分かっていない順ちゃんは母親にお父さんがお城から出てきた!王子様みたいだね!と喋ってしまう。

それがキッカケで両親は離婚、自分の発言が引き金になって家庭崩壊を招く。

父親との別れ際に「お前の所為」と捨て台詞を吐かれた事がトラウマになり、

思い込みの激しい彼女は、沈黙は善、言葉は人を傷つけるとそれまでいらん事まで言ってしまうお喋りだったのが必要な事も言わない無口になってしまう(口頭で話そうとすると緊張でお腹が痛くなる)。

コミュニケーション不足モードに入ってしまったので母子家庭なのにも関わらず母親との関係も悪い。

 とても面白い出だしだったと思います。

私はそれに加えて根暗になった成瀬順ちゃんが普段使っているリュックサックがとても彼女らしいリュックサックだなと思いそこから作品に引き込まれましたw

 

 

 

・オタクの夢

成瀬順ちゃんは周りからみれば根暗で大人しい子

後は自分の発言が引き金になり家庭崩壊を招いてしまって罪悪感を抱えてしまっている可哀想な子でもありますが、ハッキリ言って自分勝手で性格が悪い子でもあります。この作品のポイントが高い所。

少なくてもいい子ではないんです。

彼女は無口なのですが、根がお喋りでしかも思い込みが激しいので愚痴ノートを普段持ち歩いてそこでストレスを解消しています。

嫌な事があっても口には出さずに手紙を渡す、母子関係がよくない理由の一つも彼女のそういった性格からきています。

彼女ともう一人の主人公坂上拓実君は共に「地域ふれあい交流会」というクラスで地域の為に出し物をする恒例企画の委員を押し付けられた事がキッカケで接点を持ち始める訳ですが、自分を理解してくれそうで、自分を余り傷つけてこなさそう(ここ重要)な坂上拓実君に対してとても饒舌で積極的になります(といってもやり取りはメール&SNSですが)。

話にのめり込む「掴み」の話を最初にしましたが、この展開ってオタクなりにこんな青春を過ごして見たかったと思ってしまうような内容だと思います。根暗な自分をひょんな学校行事がキッカケで補佐してくれる存在がいて、心を開いていく展開。ザ・オタクドリーム。当の成瀬順ちゃんも坂上拓実君に自分の王子様だと思う描写がある。

 

しかも坂上拓実君も自分の進学をどうするのかを巡り両親の離婚のキッカケの一つになった事で心に傷を抱えている事が分かります。

成瀬順ちゃんは坂上拓実君が自分と同じトラウマを抱えている事を知った事で更に懐くようになるわけです。

 

 

 

・野球部の描き方

 私が最初に聞いたこの映画の評判は

「野球部を悪者に描きすぎ、作者は野球部に嫌な思い出でもあるのか?w」

というものでしたw

 

この映画のメインキャラは4人。

前述した2人の他に野球部のエース田崎君が残り2人の内の1人です。

 

エース田崎君は弱小野球部のレベルを1人で上げられるほどの実力者。ただし傲慢で人望がない(?)自分がチームを甲子園に連れていくつもりが、野球の地区予選の最中に怪我をしてしまい逆にチームに迷惑をかけてしまった事、そして怪我をしている自分にイラついて周りに当たり散らしているキャラです。

 

エース田崎君も地域ふれあい交流会の1人に選ばれるのですが、野球部のエースである驕り高ぶりから協力しないどころか文句だけは一丁前につけるわけです。ただ自分が野球部の中で嫌われている事実、野球が得意な自分と同じように例えば音楽が得意な坂上拓実が自分の得意な音楽で周りに貢献している姿を見て、たかが野球が上手いくらいで威張り散らした自分を恥じて改心するようになります。

 

多分このエース田崎君は元のアイディアの後から足されたキャラクターだと思っていて、後輩との確執なんかも後から足したキャラクターのエピソードを肉付けする為に足されたものだと思うんです。

極論エース田崎君がいなくても話は成立しますし。

最初はいかにもな悪役→体育会系はこういうのに非協力的→掘り下げてメインキャラにしちゃおうってノリで決まったのではないかと推測しています。

その所為か彼のエピソードは人物描写も含めてなんか雑、特に後輩野球部員との確執の描き方が雑な所為で野球部員が陰湿に描かれ過ぎていると感じた人がいても不思議ではないなと思いました。

だからこの作品はダメとは全く思いませんしそこに怒ってる人には

「逆に野球部に思い入れありすぎだろ!w」って突っ込みたくなりますがw

 ちなみに私はこのエース田崎君が一番気に入っています。

彼の行動線は人間臭くて説得力があります。

 

 

・強引な展開と泥臭い成長パート

地域ふれあい交流会の出し物は色々あってミュージカルに決まります。

ミュージカルを通じて成瀬順ちゃんが引っ込み思案を改善出来るように、

坂上拓実君が協力するわけですが、そうしているうちに成瀬順ちゃんが坂上拓実君に惹かれるようになります。恋しちゃったんですね。

ミュージカルの作者でもある成瀬順ちゃんは坂上拓実君と結ばれたい気持ちも作品に託したくなり一度決めたエンディングまで変えて、一生懸命準備をするわけですが、

 

本番の前日に4人目のメインキャラであるクラスのマドンナ仁藤菜月ちゃんと坂上拓実君が中学時代に付き合っていた事お互いがスッキリしない自然消滅をしてしまったのもあってか、坂上拓実君はマドンナ仁藤ちゃんにまだ気がある事を知ってしまいます。

しかもマドンナ仁藤ちゃんも坂上拓実君に対する未練タラタラで、坂上拓実君と成瀬順ちゃんが委員会キッカケで仲良しになっている事に焼きもち焼きまくりの嫉妬の鬼になってる所が面白い。成瀬順ちゃんをイジメたりはしませんけどねw

 

成瀬順ちゃんは混乱してミュージカルの本番をぶっちぎってしまいます。

でどういう訳かクラスメートは妙に冷静で、結局成瀬順ちゃんにはミュージカルに出て貰う事になり、その為に坂上拓実君は成瀬順ちゃんを探しに行く事になり、その間クラスメートは時間稼ぎをする事に決まり、

全ての始まりである「お城」に立て籠もっている成瀬順ちゃんを見つけた坂上拓実君と成瀬順ちゃんの対話シーンに繋がります。

ちなみにこれ多分全てが始まったラブホでの対話シーンがやりたいありきで考えた結果この強引な展開になったんだと思います。これがやりたかっただけでしょってw

 

この作品中「言葉は人を傷つける」というフレーズが何度も出てきますが、

成瀬順ちゃんの目標はミュージカルで自分の思っている事を100%伝える事でした。

彼女はその100%に坂上拓実君と結ばれたい欲も含まれるようになり(だからラストを変えた)だけど自分の結ばれたい気持ちは叶わない事を知ってしまったので、100が達成できないなら自分が傷つくだけで終わるから全く何も言わない方がマシな状態になっていた訳です。

 

要は嫌な女なんですよね。成瀬順ちゃんは。

 

坂上拓実君はそんな成瀬順ちゃんの我侭な文句を一通り受け入れ、その優しさに怒りも雪解けし心を開いた成瀬順ちゃんは坂上拓実君に自分の思いを伝えます。 

そしてその告白をあっさりと断る坂上拓実君に、成瀬順ちゃんはおそらく人生で初めて、自分の思い込みの激しさで勝手に処理せずに、

自分が望まない言葉、結果を受け入れる事ができた訳です。

「言葉は人を傷つける」

 というフレーズは成瀬順ちゃんが多用していたフレーズですが、彼女は相手の話も聞かずに勝手に自分が傷つくようにしていた訳です。

この辺は大袈裟な演出をつけずに淡泊に描かれていましたがそれがよかった。

青臭いシーンなので変に演出をつけたらそれこそ白ける展開になっていたと思います。

 

相手の言葉や態度に変なフィルターをかけずに向き合う事の難しさと大切さがこの作品のテーマだったんじゃないかと思います。

 

 このミュージカル当日~本番の一通りの展開はそ正直かなり強引だと思いましたが、

強引な展開に対して各シーンはミュージカル本番も含めて繰り返し淡泊に描いていた事が事故を防止していたと思います。

おかげで私も成瀬順ちゃん同様、内容を受け入れる事ができましたw

むしろ綺麗にミュージカルを迎えて成瀬順ちゃんと坂上拓実君が結ばれて大円団で終わるよりもよっぽどよかった。

 

 

・ハッピーエンドで終わらせない

私がこの作品で特に気に入ったのが終わり方です。

 野球部のエース田崎君が成瀬順ちゃんに告白すると言い出します。

エース田崎君が成瀬順ちゃんの事を気にする仕草は結構ありましたが本当に告白するとは思いませんでしたw

そして坂上拓実君はマドンナ仁藤ちゃんに復縁を迫ります。

マドンナ仁藤ちゃんはくっそ嬉しいし最終的にはOKを出すのが自分でも分かっている癖に、エース田崎君が成瀬順ちゃんに告白するって言い出した直後にそれは嫌とか難癖をつけますw

マドンナ仁藤ちゃんも相当嫌な女だと私は思うので、坂上拓実君と成瀬順ちゃんが仲良くしてたのをまだ許せてないからだと思うんですよねw

マドンナ仁藤ちゃんは坂上拓実君と成瀬順ちゃんが仲良くしている様に嫉妬しまくっていた人物なのでそらそうなるよな、とw

とても説得力がありました。

 

最後は野球部が成瀬順ちゃんに告白するところで終わります。

彼女は一瞬驚いたリアクションを見せる訳ですが同時に風が吹くので真意が分からず

告白の返事も見せないまま映画が終わります。

 

登場人物の行動線に説得力があり淡々と進む感じ、何より敢えて余白を残す物語の切り方が私はとても好きです。

 

ネタバレを全く気にせず物語を追って観ながら思った事を簡単にまとめてみました。

感想の中で触れましたが、強引だと思った箇所、これ必要だった?と思った箇所、あからさまツッコミ所も結構あるんですが終始好意的に捉えながら楽しむことが出来ました。

深い考察となるともっと真剣に思い出したりそもそももっと何度も観ないといけなくなるので、こんなところで。